利尿薬

利尿剤の基本
・腎臓に近い場所に作用する薬ほど効果が強い。Naの吸収量が違うため。
・ループ利尿剤:ヘンレのループ:Na/K/Cl共輸送体ブロック
・サイアザイド系:遠位尿細管:Na/Cl共輸送体ブロック
・アルドステロン拮抗薬:集合管:Na/K交換系
・バソプレシンV2受容体拮抗薬:集合管:V2受容体 水利尿
・浸透圧利尿薬:糸球体濾過後再吸収されず、尿中浸透圧上昇し、Na再吸収抑制
・炭酸脱水酵素阻害薬:近位尿細管:Na吸収阻害

ループ利尿薬の使い分け
高血圧の適応はラシックスのみ
ダイアート、ルプラックは浮腫に対して処方。
J-MELODIC試験というのは、ラシックスvsダイアートの心不全での試験。
急性期は短時間作用、慢性期は長時間作用をすべき。
ルプラックのいいところは、効果が安定している。抗アルドステロン作用もあるので低カリウム血症のリスクが他よりも低い。

<フルイトラン:トリクロルメチアジド>

1960年発売。降圧剤。
尿量を増やすことで、体の水分を減らして血圧を下げる。降圧利尿剤。
降圧利尿剤の中でもチアジド:サイアザイド系になる。
サイアザイド系以外には、ループ利尿剤、カリウム保持性利尿剤がある。

サイアザイド系は利尿剤の中では
利尿作用は弱い
降圧作用は強い。
Naを尿中に多く排泄させて、体の中のNaを減らし、これにより血圧を下げる。
サイアザイド系は、血管平滑筋を弛緩する作用もある。
1日1回内服。
フルイトランは、収縮期20mmHg、拡張期8mmHg低下したことが示されている。
・サイアザイド系は、原尿から尿細管で必要な物質を再吸収するところを1か所、ブロックする薬。
 遠位尿細管は、Na-Cl共輸送担体がある。原尿のNa、Clを吸収し、Kを出す。
通常は血中、Na,Clが増え、Kが低下するが、ブロックをするとNa、Clが下がり、Kが上昇する。Naと水分は一緒に移動するので尿から排泄しやすくなる。
 近位尿細管にも作用し、炭酸脱水素酵素の働きをブロックする。通常は炭酸脱水素酵素は、炭酸を分解してHを産生し、Hを尿中に出してNaを吸収する仕組みだが、Hが産生されなくなるので尿中Naが増えるようになる。
 血管平滑筋を緩める。原因ははっきりしていないが、Na濃度低下によりCa濃度低下が二次的に起こり、平滑筋が緩むと考えられている。
 尿中カルシウム量を減らす作用もあるので尿管結石と骨粗鬆症にも有効。
 2-8mgまで適応だが、用量依存性ではないので注意。

<ダイアート:アゾセミド>
1993年発売。利尿剤。ループ利尿剤。
利尿作用が強い。
降圧作用は弱い。
利尿作用だけで考えればループ利尿剤が圧倒的。
ダイアートはゆっくり長く効くループ利尿薬。
ラシックス:フロセミドは即効性があり、強力だが、作用時間が短い。
ヘンレのループに作用する薬。
Na、K、Clに再吸収を通常はするが、それをブロックする。Na、K、Clが尿としてそのまま排泄される。
ダイアートはADHもブロックする。ダイアートは、腎臓でプロスタグランジンを活性化させる作用があり、それはADHをブロックする働きがある。
副作用は、高尿酸血症、低カリウム、低ナトリウム血症。
ダイアートの利尿作用は内服後1時間以内に認められ、9-12時間続くと言われる。
基本的に朝の内服がよい。

<ラシックス:フロセミド>
1988年発売。利尿剤。ループ利尿薬。
素早く効く、作用時間は短い。
腎機能を悪化させず、腎障害でも使用しやすい。

<ルプラック:トラセミド>
1999年。ループ利尿薬。
抗アルドステロン作用もあり、低カリウム血症をきたしにくい。
ヘンレのループ以外に抗アルドステロン作用がある。
Na吸収を減らすので尿量が増える。
4-8mg、1日1回。中~長時間作用。6-8時間持続と言われている。

<アルダクトン:スピロノラクトン>
利尿剤、降圧剤。カリウム保持性利尿剤。
遠位尿細管でNa-K交感系に作用。
Na吸収阻害し、尿中Naを増やす、血中カリウムは出されないので上昇する。

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